波多野暁生です。
法務省における、自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会の委員に指名されましたので、お受けした次第です。
昨日(令和6年2月21日)に第1回の会議が開かれました。
会議の内容については、いずれ法務省のホームページに議事録が掲載されると思いますので、ここで内容について触れる事は致しません。
今回の検討会に際して、私は被害者遺族としての立場から、様々な問題を有識者に類推して頂きたいと働きかけて行くつもりです。
2023年8月31日に自民党交通安全対策特別委員会の会議において、被害者としてヒアリングを受けた際に急転直下で自民党内にプロジェクトチームの設置が決まりました。
2023年12月20日には、岸田総理大臣、小泉法務大臣への自民党プロジェクトチーム提言書提出して頂き、その際に政府としても検討を行う旨を総理に明言して頂きました。
プロジェクトチーム立ち上げ以後は非常にスピーデイーにこの問題を然るべき検討の俎上に載せて頂く事が出来たと思います。
2023年8月31日の自民党交通安全対策特別委員会での席上、ある議員の方から、「この問題は長きに渡って多くの方が苦しまれている問題です。今の状況を放置する事は与党自民党として不作為を問われかねません」とお言葉をかけて頂きました。
私はこの会話を昨日の検討会の第1回目でご紹介し、今回の検討会も不作為とならない様に、抜本的な議論を行って頂きたいと要望をして参りました。
今後、議論が重ねられる事によって、様々な論点が検討課題として認識されるだろうと考えていますが、現時点で私が強く訴えたい事は下記の点です。
①危険運転致死傷罪の創設時(2001年)の5類型(・飲酒 薬物 ・進行制御困難高速度 ・無技能 ・妨害 ・赤信号殊更無視)については、条文表現が今日まで基本的に全く変わっていない。
②2001年の立法当時に悪質危険な運転としての故意犯の類型を創設する際の議論で想定されていたであろう事件が「実際に起きた時」、今の条文では危険運転致死傷罪が成立しないという悲劇が各地で繰り返されていると理解している。これを放置してよいのか?
当初想定していた悪質危険な運転の取締り漏れが起きない様に、条文表現を見直すべきである。
③2012年に自動車運転死傷行為処罰法の制定を議論する際の法制審議会において、いくつかの被害者団体がヒアリングを受けている内容が法務省のHPに掲載されている。
その内容を見ると、今現在も見直しが求められている問題は当時から殆ど変わっていない。
すなわち、条文表現が不明確であるが故に、危険運転の適用を断念した事案の当事者が、その後も生まれ続けていると言う事に他ならない。
④飲酒、薬物、法定速度の1.5倍、2倍、3倍の速度による走行、信号看過ではない赤信号無視、これらの運転(危険を認識した上での運転)により、人を死傷させた場合においても、法的にこれを過失(うっかり)と評価される事に、遺族は到底納得できない。
⑤条文表現を分かり易くする事により、立法当初から取り締まるべきと考えられていた事件を確実に起訴し、裁判でその罪を裁ける様にして頂きたい。
検討の議論が重なるにつれて、訴える内容の追加も含めて、訴えは変化すると思います。
いずれしても、空理空論は絶対に避けたいと言うのが、今の率直な思いです。
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